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全熱交換と顕熱交換の比較で、次のような説明をしている資料がありますが、この説明には大きな落とし穴があります。
これらの説明は、AVS-DUO全熱交換換気装置にはあてはまりません。
顕熱交換換気装置 室外へ排気する空気から熱のみを回収し、湿度や臭気や汚染物質は、そのまま排気する。 | |
全熱交換換気装置 室外へ排気する空気から熱を回収するだけでなく、湿気や臭気や汚染物質なども回収する。 |
確かに、AVS-DUO全熱交換換気装置の熱・湿交換コアは、湿気を交換する特性をもっています。しかし、この説明には、湿気を交換する特性が、室内と屋外の温度差と湿度差の条件が異なる状態において、どのように機能しているかに触れていないという問題があります。
日本の換気システムが導入されるような高気密高断熱住宅においては、一般的な室内と室外の温度差と湿度差は、次のようになっていると考えられます。
夏期: | 一般的に冷房が行われていますので、室内が室外に比べて気温が低く、相対湿度も低い状態です。 |
冬期: | 一般的に暖房が行われていますので、室内が室外に比べて気温が高く、相対湿度も高い状態です。 |
つまり、温度差と湿度差の関係が全く逆になります。
この条件で、上記の説明を考察すると、説明不足な点が明らかになってきます。
● 顕熱交換換気装置の説明
冬期の暖房時に限定すると、間違いはありません。
しかし、この特性は、室内の空気に含まれる全ての水分を連続的に排出し、室外から乾燥した空気(室外の空気は、熱交換により暖められると相対湿度は下がります。)を連続的に取り込むことにより、室内を過剰に乾燥させる原因にもなります。
次に、夏期の冷房時に顕熱交換換気装置がどのように動作するか考えてみます。
冷房により、室内の温度は室外に比べて低く、相対湿度も低い状態。つまり、室外は、高温多湿の状態です。
この条件に、顕熱交換の説明を当てはめると、熱は交換するが湿気は交換しないので、室外から湿った空気を室内に取り込みことになると言えるのではないでしょうか。たとえ熱交換により予冷されたとしても、湿度の高い空気の流入は、冷房負荷を増加させることになります。
● 全熱交換換気装置の説明
冬期の暖房時に、AVS-DUO全熱交換換気装置は、排出する空気から熱と湿気を交換し、取り込む空気に回収して、室内に戻します。
しかし、湿度交換量と交換され室内に戻ってくる湿気がどのような影響を及ぼすかを考慮せずして良否は判定できません。
屋内外の温度差により異なりますが、冬期の暖房時のAVS-DUO全熱交換換気装置の平均的な湿気交換率は60%です。つまり、最低でも、屋内の湿気の40%は排出していることになります。
それに加え、AVS-DUO全熱交換換気システムは、室内の過剰な湿度に対して、メインコントローラーの湿度センサーで監視しています。
室内の湿度があらかじめセットしたレベル以上になると、AVS-DUO全熱交換換気装置は高速運転を行い、換気量を増やします。
また、窓の結露などが特に問題となる冬季(外気温が−15〜+10度の時)は、コアにある排気バイパスダンパーが開き、約20%の空気がコアを通らずに排気されます。これにより湿気の交換効率を約30%低下させ、より早い湿気の除去が可能になります。
どちらかと言えば、乾燥気味になる日本の冬期の室内環境を考えると、室内の湿気を交換して取り込む乾燥した空気に湿り気を与えるという特性が、室内の過剰な乾燥を防ぐ効果があります。
夏期の冷房時は、AVS-DUO全熱交換換気装置は、熱と湿気を交換しますので、室外から取り込む空気は、予冷と除湿されたものとなり、冷房負荷の増加を抑えることができます。
全熱交換換気装置と一口に言っても、いろいろな構造があります。しかし、この説明では、どのような構造の全熱交換装置がどのように臭気や汚染物質を交換しまうのか書かれていません。つまり、理論的に説明がなされていないという点が問題です。
しかし、AVS-DUO全熱交換換気装置は、回転式の全熱交換コアが排出する空気と取入れる空気の層の間を回転しながら熱と湿気を交換しますので、排気と給気の間で空気が混ざり、臭気や汚染物質などが戻って来ないのかという疑問が沸いてくるのは当然のことです。
住宅における換気の先進国であるカナダ及びアメリカでは、第三者機関であるHOME VENTILATING INSTITUTEが北米で市販されている住宅用換気装置の性能試験と認定を行い、その結果を毎年CERTIFIED HOME VENTILATING PRODUCTS DIRECTORYとして公表しています。
その試験結果の中で、排気移動率(排気が給気側へ漏れる割合)が示されています。
それによりますと、AVS-DUO全熱交換換気装置の排気移動率は1%です。しかし、他社の多くの熱交換型換気装置でも排気から給気への排気移動率が1〜数%程度あることが試験結果として示されていますので、AVS-DUOだけの欠点とは言えません。
1%の空気が混ざることにより、臭気などを受け渡してしまう可能性ゼロではありません。
しかし、排気する空気に含まれる匂いなどの1%では、人体に影響があるはずもなく、ましてや人が感じられることはありません。
換気装置で排気する空気の1%の匂いというのは、トイレで発生した匂いの1%ではなく、排気している家全体の空気に含まれる匂いの1%ということです。つまり、トイレの匂いを含んだ空気を家全体の空気で薄めて、それの1%と言うことです。
トイレも浴室も扉で仕切られているとは言え、同じ居住空間の中にあります。壁の隙間や扉の開け閉めにより漏れる空気や匂いもあるわけですから、換気装置の1%という数値は、問題視するにはあたらないと考えます。
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